ジャコメッティ展2006/07/29 22:00

ジャコメッティ入場券

葉山の県立近代美術館でジャコメッティ展を見てきた。

実を言うとジャコメッティ展を昔見たことがある、確か34年ほど前、池袋のデパートの美術館であったと思う。(今は無くなってしまったその美術館、デパートを後援者として、ずいぶん先鋭的な活動をしていた、勿論今は無い)その数年前上映された仏映画「男と女」のラストシーンに、浜辺を歩く犬を連れた老人を見て主人公が「ジャコメッティの犬のようだわ」と呟くシーンがあって、金色に輝く彫刻の犬が目玉だったように記憶する。
今回は、矢内原伊作氏との関連から美術展を組み上げてあった。実を言えば、私がジャコメッティを識ったのは、たまたま大学の図書館で手に取った矢内原伊作氏の著書「ジャコメッティとともに」であった。衝撃的なその内容もさることながら、挿入された数点の絵に魂を奪われた。池袋では見ることのできなかったその作品、永い年月を経てようやく巡り会えた。

造形的には、実はキュビズムの頃の彼の彫刻作品が大好きである。けれども、その後晩年に至るまでの、実存主義と共に語られる彫刻や絵画はすさまじい。存在と虚無の拮抗する巨大な空間を孕むその作品群は私を圧倒する。彼の作品ほど表現への希求を切実に語っている作品は他に無い。

最近、何を描くのかつきつめて考えているが、彼の作品は、強く本質を迫ってくる。