漁と海鳥2005/06/14 22:19

兄に誘われて、この小さなクルーザーで、トローリングに出かけたことがある。
ハーバーから朝早くエンジンを駆って海に出ると、そこにはもう漁船がたくさんのんびりと浮かんでいて、兄も舵をとりながら潜航板やらルアーやらを準備している。空は青く、海は穏やかで、のんびり海鳥達があちこちに浮かんでいる。
と、急に、何百という海鳥が一斉に飛び立って海の一点に向けて飛び始めた、するとその同じ場所に向けて何十隻もの漁船も一斉に全速力で走り始めた。もちろん、私たちもトローリングの仕掛けを海に何本も投げ込んでエンジン全開で同じ場所に急いだ。
径100mもない領域はまさに戦場、海鳥はひっきりなしに海中にダイビング、釣った魚を外しては仕掛けをまた海に放り込む漁師達を乗せた漁船が沢山右往左往、瞬く間にクルーザーのコックピットに置いていた60リットルポリバケツに釣ったサバがたまってゆく。と、また急にパタッと釣れなくなる、鳥も船も手持ちぶたさに時間を過ごす。と、また鳥どもが飛び立って・・・

鰯の大群と、それを追う海鳥とサバやカツオ、イナダ、それを釣る漁師達、豊かで生な世界が繰り広げられていた、30年ほど前の事だ。
今はどれほど釣れるのだろうか、休日にはよく海沿いをジョギングしているが、海鳥や漁船のバトルを見なくなって久しい。クルーザーの上で捌いた刺身のコリコリとした歯ごたえはもう味わえない。